あなたの骨の健康を守るために

骨粗しょう症は、骨の量(骨量)が減り、骨の質も低下して骨がもろくなる病気です。そのため、ちょっとした転倒や日常の動作でも骨折しやすくなります。 じつは、骨折と死亡率には明確な関連性があり、特に高齢者における大腿骨近位部骨折(太もものつけ根の骨折)は、死亡率を大きく上昇させることが多くの研究で示されています。

大腿骨近位部骨折(股のつけね)と死亡率

  • 高齢者がこの部分を骨折すると、多くの場合で入院・手術・長期のリハビリが必要となります。
  • 寝たきりになるリスクが高くなり、その結果として肺炎や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)、認知機能の低下などを引き起こすことがあります。
  • 実際に、日本を含む世界中の研究で、大腿骨近位部骨折後1年以内の死亡率は約10〜20%程度と報告されています。

背骨の骨折(椎体骨折)も注意

  • 背骨の骨折は「いつの間にか骨折」と呼ばれ、気づかないうちに進行することもあります。
  • ひとたび背骨が潰れると、姿勢の変化や慢性的な腰痛、内臓の圧迫、呼吸機能の低下などを引き起こします。
  • また、一度骨折すると、別の場所で再骨折しやすくなり、連鎖的に健康を損なうことがあります。
  • 骨粗しょう症の原因
  • 加齢による骨密度の低下
  • 閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)減少
  • 運動不足
  • カルシウムやビタミンDの不足
  • 喫煙・過度の飲酒
  • 特定の薬剤の長期使用(例:ステロイド薬)
  • 骨粗しょう症の症状
  • 初期にはほとんど症状がありません。しかし、進行すると以下のような症状や問題が現れます。
  • 背中や腰の痛み
  • 身長の低下
  • 背中が丸くなる(円背)
  • 転倒による骨折(特に背骨・手首・大腿骨)

骨粗しょう症の検査

骨密度の検査では様々な部位で測定できますが、当院では、体重など負荷のかかりやすいとされる腰椎と大腿骨の2カ所で測定することにより、正確に骨の強さを評価します(DXA法)。また、必要に応じて、血液検査も行って評価しています。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療には以下のような方法があります。

食事療法
カルシウムやビタミンDを多く含む食事
運動療法
骨に負荷をかけることで骨の強さを保ちます
薬物療法
骨の吸収を抑えたり、骨形成を促進するお薬があります

予防と生活習慣の見直し

  • まずはバランスの取れた食事を心がけましょう
  • 日光浴(ビタミンDの合成を助けます)
  • 定期的な運動習慣をつけましょう
  • 禁煙・節酒を心がけましょう

薬物治療

骨粗しょう症の治療では、骨の量を保つ、骨を強くする、骨折を防ぐことが大きな目的です。そのために、患者さんの状態に合わせてさまざまなお薬が使われます。

① ビスホスホネート製剤(骨の吸収を抑える薬)

ゾレドロン酸(リクラスト® )、アレンドロン酸(フォサマック®)、リセドロン酸(ベネット®)、ミノドロン酸(リカルボン® など)など
  • 骨を壊す働きをする細胞(破骨細胞)の活動を抑えます。
  • 骨密度を改善し、骨折の予防効果があります。
  • 飲み薬(週1回または月1回)や注射薬(月1回や年1回)があります。
  • 内服薬では胃に負担がかかることがあるため、服薬方法(起床後すぐ、水で飲み、30分は横にならないなど)を守る必要があります。

※当院では患者様の要望により内服薬と注射薬(1年に1回)を選んでいただき治療をしています。

※注射薬の方が治療効果は高く、1年に1回(30分)の治療だけで終わるのですが、副反応として全身の倦怠感や発熱などが3日間でることがあります。(初回は約3割)

② SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

ラロキシフェン(エビスタ®)
  • 女性ホルモンの働きを骨に対して選択的に高め、骨の減少を防ぎます。
  • 特に閉経後の女性に使用されます。
  • 血栓症のリスクがわずかにあるため注意が必要です。

③ 活性型ビタミンD製剤

エルデカルシトール(エディロール®)、アルファカルシドール(アルファロール®)
  • カルシウムの吸収を助け、骨を強くします。
  • 他の薬と併用して使われることが多いです。
  • 高カルシウム血症にならないよう、定期的な血液検査が必要です。

④ ヒト型副甲状腺ホルモン製剤(骨をつくる薬)

テリパラチド(フォルテオ®、テリボン®)
  • 骨をつくる細胞(骨芽細胞)を活性化させ、骨を新しく作る働きがあります。
  • 主に骨折リスクが高い重度の骨粗しょう症に使われます。
  • 毎日または週1回の自己注射が必要です(病院での指導あり)。
  • 使用できる期間は通常2年間までとされています。

⑤ 抗RANKL抗体製剤(骨の吸収を強力に抑える注射薬)

デノスマブ(プラリア®)
  • 破骨細胞の働きを抑える注射薬で、6ヶ月に1回の皮下注射です。
  • 骨密度の改善・骨折予防に非常に効果的です。
  • 中止後は急激に骨密度が下がる可能性があるため、一度治療を始めると継続的な治療が必要となります。

⑥ ロモソズマブ(骨をつくる+骨の吸収を抑える新しい注射薬)

イベニティ®
  • 骨をつくる働きと、骨を壊す働きの両方に作用する新しいタイプの薬です。
  • 月1回、2本同時に皮下注射を行い、12ヶ月間の使用が上限です。
  • 骨折リスクが非常に高い方や、他の治療で効果が不十分な方に使われます。
  • 心血管系の持病がある方には慎重に使う必要があります。

治療は継続が大切です

骨粗しょう症の治療は長期的に継続することが非常に重要です。効果が出るまでに時間がかかることもありますが、骨折を防ぐためには根気よく治療を続けることが大切です。

骨折予防は命を守る

  • 骨折を防ぐことは、健康寿命を延ばし、命を守ることにもつながります。
  • 骨密度の低下に気づかず放置していると、思わぬ転倒で生活が一変するリスクがあります。
  • 骨粗しょう症の治療によって骨折リスクを減らし、QOL(生活の質)や自立した生活を守ることができます。
  • 骨粗しょう症は「沈黙の病」とも言われ、症状が出てからでは遅いこともあります。定期的な検査と早めの対策が重要です。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

ご予約・お問い合わせ

骨粗鬆症の診察は完全予約制となっております。予約サイトにて予約可能です。
詳しくはお電話または受付にてお気軽にお問い合わせください。