当クリニックでは、リンパ浮腫に関する全般的な診療を行います。
リンパ浮腫とは、がん治療によるリンパ管やリンパ節の切除、放射線治療により通常のリンパ液の流れが滞り、皮下組織の部分にリンパ液がたまってしまう病態です。
リンパ浮腫は、手術後すぐに発症する人もいれば、数年~数十年経過してから発症する人もいます。また、同じ様な手術や治療を受けていても、浮腫みが生じる患者さんと浮腫みが生じない患者さんがいるなど、浮腫みの程度にも個人差があります。
リンパ浮腫は、一度発症すると完治がなかなか難しく、一生つきあっていかなければならないことが多いです。
下記のような症状がある場合、当クリニックにご相談ください
- リンパ浮腫の初期症状
- 手術した側の腕が疲れやすい
- 手術した側の腕や背中が腫れぼったい、しびれる感じがある
- 手術した側の肩がこりやすい
- 手術した側の腕や肩がだるく、重苦しい感じがする
- 手術した側の腕や手の感覚が鈍くなり、物を落としやすい
- 皮膚の変化
-
静脈の見え方の変化
今まで透けて見えていた血管が見えにくくなった -
皮膚の厚みの変化
皮膚をつまみにくい、皮膚をつまんだ時の皮膚の厚みに左右差が生じる(反対の同じ部位の皮膚との違い) -
乾燥や皮膚の色の変化
乾燥しやすくなったり、皮膚が白っぽくなることがある(急にむくみが強くなる時は、赤みを帯びて熱っぽくなることがあります)
リンパって何ですか?
心臓から出た水分やタンパク質などを含んだきれいな血液は、動脈を通って全身へ運ばれ毛細血管で物質交換されます。使い終わった老廃物や残ったものはまた心臓へ戻っていきます。
このとき水分の90%は静脈を通って心臓に戻りますが、残りの10%のたんぱく質を多く含んだ水分はリンパ管を通り、リンパ節で吸収され心臓に戻ります。
このたんぱく質を含んだ体液のことを「リンパ液」といい、リンパ管は体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割をしています。
リンパ浮腫とは何ですか?
リンパ浮腫とは簡単に言うと、手術などの理由でリンパ管が切断されて、リンパ液の循環不全が起きている状態です。
交通事情で例えると道路が車両事故などにより交通渋滞が起きている状態と同じことです。手術によるリンパ節の切除や放射線などを行うと、リンパ液の流れが滞りやすくなっています。
乳がんの手術でわきのリンパ節を切除した方は、リンパ浮腫になる要素を持っていると言えます。
リンパ浮腫の特徴
手術後すぐに発症する人もいれば、10年以上たって発症する人もいます。忘れたころに発症し、発症したとしても気づきにくいです。
そのため術後は自身の皮膚状態、疲労度などのセルフチェック、リンパ浮腫予防を行っていきましょう。
押すとくぼみが出る
可動域の制限などを発症
乾燥・多毛や角質化
急な赤み・熱感・発熱の場合はすぐに病院へ!
蜂窩織炎(ほうかしきえん)の可能性があります
リンパ浮腫のある腕や体は水分とたんぱく質が過剰に貯まった状態になり、循環が悪くなっています。そのため、わずかな細菌が侵入しただけで、一気に腕全体に広がり、増殖してしまいます。この状態を蜂窩織炎といい皮下組織が炎症を起こしている状態です。熱をもっているようなら冷やしてください。
リンパ浮腫予防で大切なこと
01
スキンケア
スキンケアはご自身でできるもっとも大切なケアであり、重要な予防方法です。
お風呂上りに保湿クリームをしっかり塗ってスキンケアに努めましょう。その時にご自身の腕や体をよく見るようになることで、早期に変化に気が付くことができます。
スキンケアの基本は、清潔にし、乾燥させないこと、皮膚の保護です。
- 切り傷、深爪、日焼け、やけど、虫刺され、しもやけ、水虫、ペットのひっかき傷などに注意しましょう
- 皮膚保護のために保湿クリームをつけましょう
- 園芸などの土いじりの時は長袖の服、ゴム手袋をしましょう
- けがはもちろん、小さな傷でも消毒をしましょう
02
体重管理
リンパ浮腫の予防で次に大切なのは体重管理です。体重が増えると脂肪細胞が大きくなり、リンパ管を圧迫します。するとリンパ液の流れが止まってしまい、リンパ浮腫が発症・悪化するきっかけとなってしまいます。
今、やせているから大丈夫ということではありませんので十分に注意が必要です。
現在の体重を維持して増やさないようにしましょう。
03
日常生活で工夫できること
リンパの流れをよくしましょう
- 手術した側の腕の挙上を心がけましょう!同じ姿勢を続けないことも大切です。挙上とあわせてこまめに姿勢を変えましょう
- 横向きで休む時は手術をしていない側を下にしましょう
- リンパ浮腫を発症した場合は就寝時に枕やクッションに腕全体をのせましょう
適度な運動を心掛けましょう
- 過度な運動はやめましょう
リンパの流れが滞らないように工夫しましょう
- 下肢のリンパ浮腫の場合「しゃがみ作業」「正座」は一部分が圧迫されるのでリンパ液の流れが悪くなってしまいます
- 「デスクワーク」は腕が同じような姿勢で使い続けるため、腕の筋肉が収縮しっぱなしのため浮腫が増強しやすくなります。また、持ち続ける、立ち続ける動作も筋肉が収縮しっぱなしになります
- 荷物を手術した方の手で持つときは、持ち方に注意しましょう。重たい荷物は買い物カートの利用をしましょう
04
体全体の負担を軽減しましょう
- 疲労はリンパ浮腫の大敵です。疲れないようにスケジュールなど工夫して体調管理をしましょう
- 風邪•発熱がある時は休養をしっかりとりましょう
- 時にはゆったりとリラックスを
- 熱すぎるお風呂や疲れるほどの長風呂は気をつけましょう
- ホットヨガは体調に合わせて行いましょう
- サウナや砂蒸し風呂は控えましょう(熱がこもり炎症が起こることがあります)
よくあるご質問
リンパ浮腫の方には過剰に貯留したリンパ液を排出する「リンパドレナージ」という施術方法を用います。こちらはリンパケア外来などで専門のスタッフが治療行為として行います。
また現状ではリンパドレナージがリンパ浮腫予防に効果があるという明確な研究結果は出されていません。まだ浮腫がないようでしたら、スキンケアと体重管理をすることがとても重要で効果的といえます。
リンパ浮腫の治療
01
基本検査
まず問診と視触診によって、むくみの状態、発症してからの期間、原因となった病気の状況を確認します。
超音波検査やCTの検査を使用して確認することもあります。
02
複合的治療
「複合的治療」とは、スキンケア・用手的リンパドレナージ・弾性包帯や弾性着衣などによる圧迫療法・圧迫療法下での運動療法によって構成される複合的理学療法に、日常生活指導を加えたものです。
03
手術の判断
ある程度複合的治療ができても浮腫が改善しないか、または炎症を繰り返したり、皮膚合併症があり⼿術等の治療が必要となった場合には相談の上、ご希望の病院に紹介させていただきます。
04
手術
手術は局所麻酔にて1回につき1時間程度で終わりますが、通常2〜3回行わないと改善しないことが多いです。当クリニックより佐世保市総合医療センター形成外科等へ紹介する流れとなりますので、詳細は紹介先の病院にて確認をお願いいたします。
当院には「リンパ浮腫複合的治療技術者」が在籍しています
リンパ液の流れを促進し、むくみを軽減するためのリンパドレナージ(医療マッサージ)の専門資格をもつ看護師が在籍しています。
専用のマッサージ室で、リラックスしてリンパドレナージを受けることができます。

結城 薫
リンパ浮腫複合的治療技術者
リウマチケア看護師
- スキンケア
- 用手的リンパドレナージ(手で行う医療的なマッサージ)
- 弾性包帯や弾性着衣(弾性ストッキング等)による圧迫(圧迫療法)
- 弾性着衣などで圧迫した状態で行う運動(運動療法)
- 体重管理などの日常生活の注意
リンパ浮腫外来では、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法を行います。
患者さんは日頃、セルフドレナージをされていると思いますが、外来では日頃、ご自身ではできていない部分のお手伝いを行うというイメージです。
1時間の施術中は、ゆっくりされても良いですし、お話されても良いですし、お好みの過ごし方をされてください。
リンパドレナージの予約方法
リンパドレナージは通常の診療とは別に予約が必要です。
予約は電話のみ受け付けています。
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